光と風
毎年のことだが、春が来て暖かくなってくると、今年はどんな花と出
会えるのかとワクワクする。
いつの頃からだろうか。山の好きな先輩に連れられ山菜やキノコ狩
りに歩く度、山野草の素朴な花を撮るようになり、次第にレパートリ
ーが拡大していったのだと思う。
そして、花の写真を撮るために手にした写真集がたまたまではある
が、あの「秋山庄太郎先生」の花の写真であった。
その後、二科会写真部の組織に所属したことから、先生から直接ご
指導を受ける機会にも恵まれたこともあり、現在でも先生の影響を強
く感じている。
南北に長く、高低に恵まれた風土には、四季折々の山野草が咲き誇り、
花を志向する人々にとっては好条件が揃っている。
華道と云う日本独自の文化が発祥したのも、これらの条件に恵まれ
ているからこそと考えられる。
それにしても、「花の命」は短すぎる。
自然の移り変わりはとても早く、1日たりとも同じ姿をしていないので
この一瞬を撮り逃してはならないと思う。その一瞬を撮り逃してしまったら、
また1年待たなくてはいけない。
もしかしたら、もう2度と出会えないかもしれない。
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