鉄の塊でしかない蒸気機関車ですが山坂を一生懸命喘ぎながら登る姿は
まるで人間のように見えます。まして、重連の機関車は、仲の良い夫婦が
互いに助け合いながら人生を爆走する力強さを感じられます。ある時は特
急列車を軽々と牽引し、ある時は長くて重い貨物列車を牽く姿を、人生に見
立ててシャッターを切っていました。そして撮影が終わると、彼らは、遠い
彼方へ走り去って行ったのです。今では、イベント用に僅かな車両が復活さ
せられていますが。遠い昔に消え去った車両の方が幻のように輝きを放ち、
心の中でいつまでも走り続け、私に元気を与えてくれるように感じるのです。

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